命に関わる重大な病気を見逃さないために
1. はじめに:整体では対応できない症状があります
「腰が痛いけど、マッサージでなんとかならないかな?」
「手足のしびれが気になるけど、疲れのせい?」
このような声を日々お聞きします。確かに、慢性的な痛みやしびれの多くは筋肉や関節の問題が関係しています。しかし、整体で対応すべきでない“重大な病気”が原因の可能性もあることをご存じでしょうか?
こうした見逃してはならない病気を、「レッドフラッグ(赤信号)」と呼びます。
私たち「おるきの整体」では、施術前にこうした危険な兆候がないかを丁寧に評価し、必要な場合はすぐに医療機関での精密検査をおすすめしています。

2. レッドフラッグに該当する代表的疾患と特徴
■ 悪性腫瘍(がんの骨転移・脊椎腫瘍など)
腰痛や背部痛が続く方の中には、まれに腫瘍が関係していることもあります。
主な症状
- 安静時や夜間にも強い痛み(特に寝ている間に痛みが増す)
- 原因がはっきりしない体重減少
- 既往歴に「がん」の診断がある
- 発熱や全身の倦怠感を伴う
医療機関で行う検査
- 血液検査(炎症反応・腫瘍マーカー)
- CT・MRI・骨シンチグラフィーなどの画像診断

対応のポイント
整体では対応できません。**発見が早ければ早いほど治療の選択肢が増えます。**必ず医療機関での受診をおすすめします。
■ 感染性脊椎炎・化膿性椎間板炎(脊椎の感染症)
体の奥からジワジワ痛むような、普段と違う腰痛の正体が感染症ということも。
主な症状
- 高熱を伴う
- 動かなくても痛みがある
- 圧迫感・ズーンと重い痛み
- 最近、手術や点滴、糖尿病などの免疫低下状態がある
医療機関で行う検査
- 血液検査(白血球・CRP)
- MRI(骨の炎症を確認)
対応のポイント
感染は放置すれば骨が破壊され、最悪の場合、**命に関わる事態に発展することも。**早急に医療機関での診断と抗菌薬投与が必要です。
■ 脊髄症・脊髄腫瘍・馬尾症候群
「歩きにくい」「足の感覚が鈍い」「おしっこが出にくい」といった神経症状は要注意です。
主な症状
- 足の脱力、しびれ(特に両側性)
- 歩き方がぎこちない、よろける
- 尿が出にくい/出すぎる(排尿障害)
- 肛門や股の間の感覚異常(会陰部感覚低下)
医療機関で行う検査
- 脊椎MRI(神経圧迫の評価)
- 神経学的検査(腱反射、筋力テストなど)
対応のポイント
こうした状態は**「脊髄の緊急事態」**に該当し、早期の手術や入院加療が必要なケースもあります。整体では対応できません。
3. レッドフラッグを示す症状チェックリスト
以下の項目に複数該当する場合は、必ず医療機関を受診してください。
- 発熱・悪寒がある
- 安静時や夜間にも痛みが強い
- 急に尿が出にくくなった、もれやすくなった
- 原因不明の体重減少(3ヶ月で5kg以上)
- 転倒・事故など外傷の後からの強い痛み
- がんの既往歴がある
- 60歳以上で、初めての強い痛みが出た
4. 病院と整体の役割の違い
目的 | 病院(整形外科) | 整体(おるきの整体) |
---|---|---|
重篤な疾患の診断・治療 | ◎(画像検査・手術対応) | ×(不可) |
筋肉・関節の機能改善 | △(リハビリのみ) | ◎(姿勢・動作分析) |
薬の処方 | ◎ | × |
検査で異常がない痛み | △(様子見対応が多い) | ◎(機能障害の評価) |
「どちらかを選ぶ」のではなく、「適切に使い分ける」ことが大切です。
5. 私たちができること:病院との連携と安心のご提案
おるきの整体では、施術前の評価で少しでもレッドフラッグの可能性が疑われる場合、直ちに医療機関への受診を提案し、適切な医療情報を提供いたします。
私たちの立場はあくまでも「病院の代わり」ではなく、「病院の検査で異常がなかった方に寄り添うこと」。
実際、「病院では異常なし。でも痛みがある」という方の中には、筋肉・関節の機能障害によって症状が出ているケースも多く存在します。
6. レッドフラッグが否定された後の整体の役割
精密検査を受けて「腫瘍・感染・神経圧迫はなかった」と診断された場合、整体的アプローチがとても有効になるケースがあります。
例えば:
- 「異常なし」と言われたが夜も眠れない肩の痛み
- 「手術はまだ早い」と言われている腰のしびれ
- 「ストレスでしょう」と言われた原因不明の頭痛や倦怠感
こうしたケースでは、筋・筋膜や関節、呼吸、姿勢といった**“身体の使い方”の誤差**を整えることで改善する可能性があります。
7. まとめ:命を守る判断力と、支える技術の両立を目指して
整体はすばらしい施術手段ですが、すべての症状に万能ではありません。
本当に患者さまのためになるのは、「これは私たちの手に負えない」と言える勇気と、「医療と連携しながら、できることをやり抜く」誠実さだと私たちは考えています。
「病院に行くべきか迷っている…」
そんな時こそ、まずはお気軽にご相談ください。
