四十肩・五十肩

1. 四十肩・五十肩とは?

「四十肩」「五十肩」は一般的な呼び名で、正式には肩関節周囲炎と呼ばれる疾患です。40代〜60代の方に多く、原因がはっきりせず突然発症することも少なくありません。

四十肩や五十肩では肩関節を構成する筋肉や腱、関節包などに炎症が起き、動かしたときや夜間に痛みが出ます。重症化すると関節の可動域が大幅に制限され、服の着脱や髪を結ぶといった日常動作が困難になることもあります。


2. よくある症状と進行パターン

四十肩・五十肩は、以下のような3つの時期を経て進行すると言われています。

● 急性期(炎症期)

  • 動かさなくてもズキズキ痛む
  • 夜中に痛みで目が覚める
  • 無理に動かすと激痛が走る

● 拘縮期(凍結肩)

  • 痛みは少し軽くなるが、肩が動かない
  • 上着を着る、後ろに手を回すなどが困難
  • 可動域が制限される(いわゆる「凍結肩」状態)

● 回復期

  • 徐々に動きが戻ってくる
  • ただし、適切なリハビリや治療がなければ可動域が完全に戻らないことも

3. なぜ改善しにくいのか?

多くの方が以下のような理由で、なかなか改善しません。

  • 痛みがあるために肩を動かさなくなり、さらに硬くなる
  • 病院では「年齢のせい」と言われ、湿布や痛み止めのみ
  • リハビリを始めたが、痛みが強くて継続できなかった
  • 本当の原因(肩関節の引っかかりや筋膜の癒着など)にアプローチされていない

とくに肩関節は「動かさないと悪化するが、動かすと痛い」という悪循環に陥りやすいため、改善が難しくなるのです。


4. 病院での対応と限界

整形外科では、主に以下のような対応がされます:

  • レントゲン検査(多くは異常なし)
  • 痛み止め・湿布の処方
  • 注射(ヒアルロン酸やステロイド)
  • リハビリ(可動域訓練)

もちろん、これらが効果を発揮することもありますが、
「原因が構造的に見つからない」場合は、対症療法が中心となりがちです。

また、痛みが強い急性期にはリハビリができず、拘縮が進行してしまうこともあります。


多くの痛みの原因“関節の機能障害”

~見逃されがちな「関節包内運動」~

「関節の痛み」では、一般的には

「軟骨がすり減ったから痛い」
「骨が変形したから痛い」
「関節に炎症があるから痛い」

と説明されます。

でも実は、これらの問題は“結果”に過ぎず、“原因”ではないことが多いのです。

その“原因”のひとつが、あまり知られていない【関節包内運動】のトラブルです。


■ 関節は「曲げる」「伸ばす」だけでは動いていない

たとえば肩を回したり、膝を曲げたりするとき、関節は大きく動いているように見えます。しかしその裏側では、骨と骨の接合部(関節)でごくわずかな“滑り”や“転がり”といったミリ単位の繊細な動きが起こっています。

この「滑り」「転がり」「回旋」などの動きをまとめて【関節包内運動】(関節内運動)と呼びます。

膝関節の関節運動が正常に起きた場合には半月板損傷は起きないことを説明している図
膝関節の正常な運動
単純な曲げ伸ばしだけではなく、
正常な関節包内運動では『滑り』や
『転がり』によって関節面に
負担をかけない曲げ伸ばしができる

■ 関節包内運動がうまくいかないと、痛みが起こる

この関節包内運動がうまく働かなくなるとどうなるか?

  • 骨と骨が正常にかみ合わなくなる
  • 周囲の靭帯や筋肉に無理な力がかかる
  • 関節の奥で炎症が起きやすくなる
  • 動かそうとするたびに“引っかかり”や“つまり感”が出る

こうした状態を「関節機能障害」と呼び、膝で起きれば半月板損傷の、背骨(脊椎)で起きれば椎間板の変性や椎間板障害などの原因となってしまいます。

この関節機能障害は、我々医療従事者や教科書で学びます。しかし、実際の現場ではあまり注目されていません。それには、次の理由が挙げられます。

関節包内運動の『滑り』が障害された状態
膝関節では軟骨面に圧迫が加わり、半月板損傷の原因となる

■ レントゲンやMRIでは“異常なし”でも痛い理由

関節包内運動に注目されない理由、それは、

  1. 関節包内運動の異常は、画像検査で写すことができない
  2. 関節包内運動の異常は、正確には“原因”の“原因”だから

ということです。

病院では、「病名」をつけるために画像検査などが行われます。しかし、関節包内運動はレントゲンやMRIに映ることはありません。だから、患者さんに非常に説明しづらいのです。

また、関節包内運動の異常は、正確には“原因”の“原因”であるため、説明されないことが多いのです。

どういうことかというと、

五十肩の場合、肩関節の部分で炎症や滑走不全が起きることで痛みが出現します。この場合、五十肩の原因は肩そのものの炎症や滑走不全です。

病名をつける際に必要なのはこの部分までで、炎症が起きた原因や滑走不全が生じている理由などは問題にされないのです。

つまり、

◯症状の原因である関節の不具合や炎症までを見るのが“レントゲンやMRI”などの画像検査
◎症状の原因である関節の不具合や炎症の原因である関節包内運動の異常を探すのが根治のための検査

の2つを探らなければお悩みの根治は難しいものの、関節包内運動を見逃されているがために症状の改善に至らないというパターンが非常に多いのです。

施術前
施術後

病院の役割は“正確に診断すること”です。
そのため、レントゲンやMRIなどの最先端医療機器を使用して、症状の原因である“あなたの今の状態”を教えてくれます。

しかし、もしあなたがこれまで受けた治療で改善していないのであれば、もう一つ、検査を先に進める必要があります。

“あなたの今の状態”になってしまった原因を探っていかなければいけません。

5. 病院と治療院(鍼灸院・整体院など)の違い

病院では主に「構造的異常(骨折や断裂など)」を扱いますが、
当院のような治療院では「機能的な異常(動きの悪さ・筋肉の緊張・関節の引っかかり)」にアプローチします。

つまり、画像に写らない異常に対しての対応が得意です。


患部に負担をかけるもう一つの原因〜運動連鎖〜

〜運動連鎖の異常による二次的な痛み〜

痛みのある部位が、必ずしも“本当の原因”とは限りません。
たとえば膝が痛くても、問題の出発点は股関節や足首にある場合もあります。
このような現象の背景には、「運動連鎖(うんどうれんさ)」と呼ばれる身体全体の連動した仕組みが関係しています。

詳しくは別のページで紹介していますので、そちらをご覧ください。

● 運動連鎖とは?

運動連鎖とは、一つの関節や筋肉の動きが、他の部位にまで影響を与える現象のことを指します。
人間の身体は、足から頭まで「つながって」動いています。
たとえば、歩くときには股関節・膝・足首が連動して動き、片方の足が動けば骨盤や背骨も微細に動きます。
このような連携によってスムーズで自然な動作が可能になるのです。

● 運動連鎖が崩れるとどうなる?

ところが、どこかの動きが悪くなると、この運動のバランスが崩れてしまいます。
たとえば股関節が硬いと、それをかばうように膝や腰が必要以上に動こうとして負担が集中します。
このように、原因は他にあるのに、結果として負担が集まり「患部」となる場所に痛みが出るのが、運動連鎖の異常による痛みの特徴です。

● 痛みのある場所だけを治療しても良くならない理由

運動連鎖の異常が背景にある場合、痛みが出ている患部だけをマッサージしたり電気を当てたりしても、一時的にしか改善しないことが多くあります。
それは、根本原因が他の場所にあるためです。
いわば「火事場に水をかけても、出火元に火が残っていれば再燃する」のと同じです。

右(スマホでは下)の図を見てください。

これは普段、私がセミナー等で鍼灸師さんや整体師さんに教える時に使っている資料の一部です。

この図では、運動連鎖の不具合は何かしらの身体的不具合(原因)に当たります。

この運動連鎖の不具合を放置すると、患部に負担が溜まり始めます。

患部の負担を放置するとやがて痛みや自律神経症状など“症状”としてお身体の不調が顕在化、さらに放置すると病院の検査で画像上の問題が見つかる“結果=あなたの今の状態”へとつながるのです。

関節の痛みの原因となる運動連鎖について福岡市西区のおるきの整体で説明している資料

● 正しい評価が根本治療への第一歩

そのため当院では、「なぜそこに痛みが出たのか?」「どこから連鎖が崩れているのか?」という点に重点を置いて検査を行います。
たとえ膝の痛みで来院された方でも、股関節や足首、場合によっては鎖骨の動きまでチェックするのは、全身の連動を見極め、根本原因を探るためです。

6. 当院に来られる方の特徴

当院には、以下のようなお悩みの方が多く来られます:

  • 半年以上も四十肩が治らず困っている
  • 整形外科では「自然に治る」と言われたが不安
  • 夜中の痛みで眠れず、精神的にも限界
  • 肩以外の場所(首・背中・肘)にも痛みが出てきた
  • 他院のリハビリで悪化した経験がある

7. 当院のアプローチ(IRT療法)

▼ IRT療法とは?

IRT(Impingement Release Technique)は、
関節や筋肉に生じる「引っかかり=インピンジメント」を検査で特定し、
その場で解除することで動きと痛みを改善する技術です。

▼ 四十肩・五十肩に対しては…

  • 肩関節だけでなく、首・胸郭・肩甲骨なども詳細に評価
  • 運動連鎖(全身の動きのつながり)から原因部位を特定
  • 関節包の滑走性や筋膜の癒着を丁寧にリリース
  • 痛みが強い時期には、負担をかけずに神経系へアプローチ
  • 自宅でのセルフケア(動かし方・冷やし方など)も指導

当院では、「痛みがあるから動かさない」ではなく、「動かせるようにするための施術」を行います。


8. よくある質問

Q. 四十肩は放っておいても治りますか?
A. 自然に回復するケースもありますが、可動域が戻らないまま固まってしまうこともあります。放置せず、早期に対応することが大切です。

Q. リハビリで痛みが強くなったのですが…
A. 痛みのある時期に無理な運動をすると悪化する場合があります。当院では炎症期かどうかを見極めて、時期に応じた対応を行います。

Q. 病院と併用しても大丈夫ですか?
A. はい。薬の服用や画像診断など、病院の対応と併用することでより安全に改善を目指せます。


9. 最後に

四十肩・五十肩は、「放っておけば治る」と思われがちな疾患ですが、
実際には誤った対応や放置によって長期化・悪化するケースも多く見られます。

福岡市西区今宿の『おるき』では、
大学病院レベルの技術と独自のIRT療法を用い、
「構造ではなく機能の異常」に着目した根本改善を行っています。

つらい肩の痛みに、もう一度しっかり向き合ってみませんか?


福岡市西区の整体治療

おるきの整体


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