頚椎椎間板ヘルニアとは?——首の痛み・腕のしびれに悩むあなたへ

はじめに:その「首の痛み」や「腕のしびれ」、もしかすると…

「首を動かすと痛い」「肩や腕にしびれが走る」「手の感覚が鈍い気がする」
こうした症状でお悩みの方へ。

整形外科を受診し、「頚椎椎間板ヘルニア」と診断された経験はありませんか?

私たち「おるきの整体」にも、そうした診断を受けたあと「でも、薬とリハビリだけで変化がない」「手術しかないと言われたが迷っている」という方が数多く来院されます。

福岡市西区の整体で首の痛みに悩む40代女性が相談する様子

この記事では、頚椎椎間板ヘルニアの病態と発症メカニズム、医療機関での治療法、そして当院が行う整体的アプローチについて、専門的かつわかりやすく解説していきます。


頚椎椎間板ヘルニアとは?——病態と発症メカニズム

● 椎間板とその役割

頚椎(けいつい)は首の骨のことを指し、全部で7つの椎骨(C1〜C7)で構成されています。

その椎骨と椎骨の間には「椎間板」と呼ばれるクッションのような軟骨組織があり、衝撃を吸収したり、首のスムーズな動きを助けたりしています。

椎間板は中心の「髄核(ずいかく)」と、それを取り囲む「線維輪(せんいりん)」という構造になっており、例えるなら“ゼリー入りのドーナツ”のような形をしています。

頚椎椎間板ヘルニアによる神経圧迫を示したイラスト

● ヘルニアとは何か?

ヘルニアとは、「飛び出す」「はみ出す」という意味です。

頚椎椎間板ヘルニアの場合は、椎間板の中心部にある髄核が、加齢や姿勢不良、過負荷などによって線維輪を突き破り、外側へ突出してしまう状態を指します。

このとき、飛び出した椎間板が近くを走る神経根や脊髄に触れると、痛みやしびれといった神経症状を引き起こします。


頚椎椎間板ヘルニアの主な症状

  • 首の痛み・可動域制限(特に後屈や回旋)
  • 肩甲骨周囲の鈍痛や違和感
  • 腕〜手にかけての放散痛やしびれ
  • 手指の細かい動きがしにくい
  • 脱力感(握力の低下など)
  • まれに歩行障害や排尿障害(脊髄症を伴う場合)

症状は、どの椎間板がどの方向に飛び出しているかによって変わります。
一般的には、C5/6、C6/7レベルでの発症が多く、それぞれ対応する神経根に応じたしびれや筋力低下が現れます。


医療機関での診断と治療法

● 診断

整形外科では、以下の手順で診断が行われます。

  • 問診・神経学的検査(ジャクソンテスト、スパーリングテストなど)
  • 画像検査(MRIでの椎間板の突出や神経の圧迫確認)
  • 筋力・反射・感覚の左右差評価

MRI画像での診断精度は非常に高く、どの部位がどの程度突出しているか、どの神経が影響を受けているかが明確に確認されます。

● 一般的な治療法(西洋医学)

頚椎椎間板ヘルニアの治療は、大きく「保存療法」と「手術療法」に分かれます。

◯ 保存療法

初期症状が軽度〜中等度であれば、まずは以下の保存的治療が行われます。

  • 安静・生活指導
  • 内服薬(消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、神経障害性疼痛薬など)
  • 牽引療法
  • 神経ブロック(選択的神経根ブロック、硬膜外ブロック)
  • リハビリ(理学療法士による運動指導)

保存療法の目的は「炎症の沈静化」と「症状の自然軽快」を待つことであり、数週間〜数ヶ月の経過観察を含むことが多いです。

◯ 手術療法

以下のようなケースでは手術が検討されます。

  • 保存療法で改善が見られない
  • 手の麻痺や筋力低下が進行する
  • 歩行障害・膀胱直腸障害(=脊髄症状)を認める

代表的な手術法には以下があります:

  • 頚椎前方除圧固定術(ACDF)
  • 頚椎椎弓形成術(脊髄症を伴う場合)

いずれも、神経圧迫を解除しつつ、頚椎の安定性を保つことが目的です。


保存療法で改善しない理由は?——構造の異常と機能の異常

医療機関での対応は極めて重要です。
特に画像診断により、重篤な圧迫や脊髄症を除外できる点は大きな安心材料になります。

ただし、画像でのヘルニア所見があっても、
「症状の出方が一致しない」「しびれが左右どちらにも出る」「ずっと痛い日と楽な日がある」
という声も少なくありません。

なぜでしょうか?

それは、構造的な異常だけでなく、「機能的な問題(=身体の使い方・筋緊張・神経興奮など)」が複雑に絡んでいるからです。

頚椎椎間板ヘルニアの機能的な問題を考える際、ヘルニア塊が飛び出した原因を考える必要があります。

多くの場合、髄核が飛び出した関節で引っかかりや詰まり(インピンジメント)が起きていることが多いです。


多くの痛みの原因“関節の機能障害”

~見逃されがちな「関節包内運動」~

「関節の痛み」では、一般的には

「軟骨がすり減ったから痛い」
「骨が変形したから痛い」
「関節に炎症があるから痛い」

と説明されます。

でも実は、これらの問題は“結果”に過ぎず、“原因”ではないことが多いのです。

その“原因”のひとつが、あまり知られていない【関節包内運動】のトラブルです。


■ 関節は「曲げる」「伸ばす」だけでは動いていない

たとえば肩を回したり、膝を曲げたりするとき、関節は大きく動いているように見えます。しかしその裏側では、骨と骨の接合部(関節)でごくわずかな“滑り”や“転がり”といったミリ単位の繊細な動きが起こっています。

この「滑り」「転がり」「回旋」などの動きをまとめて【関節包内運動】(関節内運動)と呼びます。

膝関節の関節運動が正常に起きた場合には半月板損傷は起きないことを説明している図
膝関節の正常な運動
単純な曲げ伸ばしだけではなく、
正常な関節包内運動では『滑り』や
『転がり』によって関節面に
負担をかけない曲げ伸ばしができる

■ 関節包内運動がうまくいかないと、痛みが起こる

この関節包内運動がうまく働かなくなるとどうなるか?

  • 骨と骨が正常にかみ合わなくなる
  • 周囲の靭帯や筋肉に無理な力がかかる
  • 関節の奥で炎症が起きやすくなる
  • 動かそうとするたびに“引っかかり”や“つまり感”が出る

こうした状態を「関節機能障害」と呼び、膝で起きれば半月板損傷の、背骨(脊椎)で起きれば椎間板の変性や椎間板障害などの原因となってしまいます。

この関節機能障害は、我々医療従事者や教科書で学びます。しかし、実際の現場ではあまり注目されていません。それには、次の理由が挙げられます。

関節包内運動の『滑り』が障害された状態
膝関節では軟骨面に圧迫が加わり、半月板損傷の原因となる

■ レントゲンやMRIでは“異常なし”でも痛い理由

関節包内運動に注目されない理由、それは、

  1. 関節包内運動の異常は、画像検査で写すことができない
  2. 関節包内運動の異常は、正確には“原因”の“原因”だから

ということです。

病院では、「病名」をつけるために画像検査などが行われます。しかし、関節包内運動はレントゲンやMRIに映ることはありません。だから、患者さんに非常に説明しづらいのです。

また、関節包内運動の異常は、正確には“原因”の“原因”であるため、説明されないことが多いのです。

どういうことかというと、

頚椎椎間板ヘルニアの場合、飛び出したヘルニア塊が神経を圧迫することで痛みが出現します。この場合、痛みや痺れの原因は頚の神経の圧迫です。

病名をつける際に必要なのはこの部分までで、炎症が起きた原因や滑走不全が生じている理由などは問題にされないのです。

つまり、

◯症状の原因である関節の不具合や炎症までを見るのが“レントゲンやMRI”などの画像検査
◎症状の原因である関節の不具合や炎症の原因である関節包内運動の異常を探すのが根治のための検査

の2つを探らなければお悩みの根治は難しいものの、関節包内運動を見逃されているがために症状の改善に至らないというパターンが非常に多いのです。

施術前
施術後

病院の役割は“正確に診断すること”です。
そのため、レントゲンやMRIなどの最先端医療機器を使用して、症状の原因である“あなたの今の状態”を教えてくれます。

しかし、もしあなたがこれまで受けた治療で改善していないのであれば、もう一つ、検査を先に進める必要があります。

“あなたの今の状態”になってしまった原因を探っていかなければいけません。

なぜヘルニア塊が飛び出してしまうような状態になってしまったのか?その負担は何だったのか?を考える必要があります。

患部に負担をかけるもう一つの原因〜運動連鎖〜

〜運動連鎖の異常による二次的な痛み〜

痛みのある部位が、必ずしも“本当の原因”とは限りません。
たとえば膝が痛くても、問題の出発点は股関節や足首にある場合もあります。
このような現象の背景には、「運動連鎖(うんどうれんさ)」と呼ばれる身体全体の連動した仕組みが関係しています。

詳しくは別のページで紹介していますので、そちらをご覧ください。

● 運動連鎖とは?

運動連鎖とは、一つの関節や筋肉の動きが、他の部位にまで影響を与える現象のことを指します。
人間の身体は、足から頭まで「つながって」動いています。
たとえば、歩くときには股関節・膝・足首が連動して動き、片方の足が動けば骨盤や背骨も微細に動きます。
このような連携によってスムーズで自然な動作が可能になるのです。

● 運動連鎖が崩れるとどうなる?

ところが、どこかの動きが悪くなると、この運動のバランスが崩れてしまいます。
たとえば股関節が硬いと、それをかばうように膝や腰が必要以上に動こうとして負担が集中します。
このように、原因は他にあるのに、結果として負担が集まり「患部」となる場所に痛みが出るのが、運動連鎖の異常による痛みの特徴です。

● 痛みのある場所だけを治療しても良くならない理由

運動連鎖の異常が背景にある場合、痛みが出ている患部だけをマッサージしたり電気を当てたりしても、一時的にしか改善しないことが多くあります。
それは、根本原因が他の場所にあるためです。
いわば「火事場に水をかけても、出火元に火が残っていれば再燃する」のと同じです。

右(スマホでは下)の図を見てください。

これは普段、私がセミナー等で鍼灸師さんや整体師さんに教える時に使っている資料の一部です。

この図では、運動連鎖の不具合は何かしらの身体的不具合(原因)に当たります。

この運動連鎖の不具合を放置すると、患部に負担が溜まり始めます。

患部の負担を放置するとやがて痛みや自律神経症状など“症状”としてお身体の不調が顕在化、さらに放置すると病院の検査で画像上の問題が見つかる“結果=あなたの今の状態”へとつながるのです。

関節の痛みの原因となる運動連鎖について福岡市西区のおるきの整体で説明している資料

● 正しい評価が根本治療への第一歩

そのため当院では、「なぜそこに痛みが出たのか?」「どこから連鎖が崩れているのか?」という点に重点を置いて検査を行います。
たとえ膝の痛みで来院された方でも、股関節や足首、場合によっては鎖骨の動きまでチェックするのは、全身の連動を見極め、根本原因を探るためです。

おるきの整体のアプローチ:動きから“本当の原因”を探る

私たちは、病院での画像診断を尊重しつつ、それだけでは捉えきれない“機能的異常”を丁寧に評価・施術しています。

キーワードは「滑走性」「神経の圧迫ストレス」「自律神経の過緊張」——
それらを統合的に捉えるのが、当院の【IRT療法】です。


IRT療法(インピンジメント・リリース・テクニック)による統合施術

● 技術の特徴

  • 関節や筋肉の“引っかかり”=インピンジメントを解除
  • 深層筋膜や神経周囲の滑走性を改善
  • 全身の運動連鎖から「原因の部位」を特定
  • 副交感神経優位へ導く頭蓋・頸部オステオパシー
福岡市西区の整体院で首の牽引療法を受ける40代女性の様子

● 実際の施術の流れ

  1. 動作評価と可動域検査
      → 頚椎の屈伸・回旋・胸郭・肩甲帯との連動を確認
  2. IRT反応テスト
      → 神経興奮や滑走障害のある部位を特定(例:前斜角筋、胸郭出口、後頭下筋群など)
  3. 施術①:神経リリース+筋膜リリース
      → 頚椎周囲だけでなく、腕・肩・背中・鎖骨の連動部位へもアプローチ
  4. 施術②:頭蓋・自律神経調整
      → 呼吸・眼球運動・内臓ストレスも含めて副交感神経活性を図る
  5. 施術③:関節マニュピレーション
      → 最後に可動性と滑りを最適化し、症状の変化をその場で確認

よくある質問(Q&A)

Q. ヘルニアがあるのに動かして大丈夫?
→ 神経症状や筋力低下の有無、動きで悪化しないかを丁寧に見極めながら施術します。悪化させないよう、刺激量・方向・部位を精密に調整しています。

Q. 手術が必要と言われましたが、整体で回避できますか?
→ 圧迫の程度や症状の進行度によります。ただ、実際に当院では手術を回避できた例も多数あり、術前に一度評価する価値は十分にあります。

Q. 整体はどれくらい通えば効果が出ますか?
→ 軽度なら数回で大きく改善する方も。慢性化している場合は3〜10回程度で段階的に変化を実感される方が多いです。


施術料金・予約案内

  • 初回:¥9,900(問診・評価・施術含む 60〜75分)
  • 2回目以降:¥4,290〜¥7,700(状態に応じて施術プランを提案)

👉 当院は完全予約制です。無理な通院提案などは行いませんので、安心してご相談ください。


まとめ:手術前に“動き”の視点を加えてみませんか?

頚椎椎間板ヘルニアは、神経の圧迫や炎症によって痛みやしびれが起こる疾患です。

でも、すべての症状が「画像の所見」と一致するわけではありません。

だからこそ、動きの中から原因を探り、神経や筋肉が本来の働きを取り戻せるように整えていくことが大切です。

病院の治療を尊重しつつ、それだけでは届かない領域に整体でアプローチする——
それが私たち「おるきの整体」の役割です。

👉「福岡市西区 頚椎椎間板ヘルニア 整体」でお探しなら、ぜひ当院の施術をご体験ください。